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★☆ 国民保護は地方自治から ☆★
毎年、藤沢市・寒川町の消防出初め式に呼んでいただいており、今年はご挨拶もさせていただいた。
もともと小児科医であった私には救急車と救急隊員の皆さんとはかつて一緒に仕事をした間柄である。とりわけまだ若かった30歳代前半は毎日のように患者さんの検査や転院に付き添って救急車に乗っていた。また夜間当直では、次々と搬入されてくる患者さんに付き添う救急隊員からあれこれ情報を得ることが多かった。救急隊員は皆誠実で、どんな時にも一生懸命に患者さんのためにやってくれている。その姿は頼もしくもあり、国民の生命を守ってくれていることを実感してきた。
「消防」という仕事は、赤い消防車に象徴される「防火」の分野と、火災以外のあらゆる災害からも国民を守る防災、そして白い救急車に象徴される「救急救命」の分野と多岐にわたる。1947年に制定された消防組織法にうたわれる如く、国民の生命・身体・財産を守る役割を担うのが「消防」であり、その責任は各市町村の首長にある。もちろん県や国もそれぞれにその市町村の仕事を支援する立場にあるが、決して指揮・命令系統ではなく、治安などの警察権限とも独立している。
文字通り、国民の生命・身体・財産を守ることが地方自治に委ねられていることの意味は大変大きく深いと思う。そのための人材は、消防職員以外に各地区の有志の消防団員や防災ボランティアがこれを担うことからもわかるように、根っからの住民参加の組織である。
安倍晋三政権になってから「国を愛する」・国防の強化などの言葉が氾濫し、あたかも外敵から国民を守るために国家の力=軍隊が必要であるかのように宣伝されるが、「実は「軍隊は国民を守らない」という事実は戦争を通して如実に示されてきた。軍隊はもちろんのこと警察も、戦闘のためあるいは犯罪に対しての対処を第一とするため、国民保護は二の次、三の次となる。
阪神大震災は12年目を迎えたが、国民を災害から守ることを任務とされているはずの自衛隊が、国による命令を受けて救援に向ったのは、数日を経て後のことであった。日本の場合、自衛隊は軍隊ではないし、国土保安隊として出発し、防災のたねにも働くことを任務としてきた特別な生い立ちがあるのに、である。
こうした経緯もあってか最近は「自衛隊による国民保護」が強調されている。しかし、安倍首相の下で海外派遣を本来任務とするような防衛庁の省昇格が行われ、「軍事組織化」が進む中では、本当の意味での国民保護からますます縁遠くなるのではないか。
それ故、住民・国民を守るためには、
第1は、まず国の役割としての平和外交、すなわちこれからも平和国家として歩むことを世界に意思として
示すこと(戦争を引き起こさない)―憲法9条堅持
第2に、環境破壊の進む今日、津波や地震などの予期せぬ大災害に対しても自治体主導のしっかりした防災
の取り組み(その足らざる部分を県や国が支援)とネットワーク体制の確立。
第3に、人間関係が疎遠となる中で、地域での共生力を取り戻すこと
につきると思う。
次々と目の前を通り過ぎていく真っ赤な消防車、そして最新の救命装置を備えた白塗りの救急車の登場を子ども達とともに待ち受けながら、今年一年の市民の息災と安心・安全をしっかり守る消防隊の活動に心からの期待を寄せたい。
阿部知子
【参考】
wikipedia
阪神・淡路大震災
自衛隊も 村山富市総理大臣(日本社会党)から(国土の30%に当たる中国地方・四国~中部地方の陸上防衛力を空白状態にしてまでの救援活動を必要とするとの)政治的判断がなかなか示されなかった事から対応が後手になり、更に交通渋滞や被災者が犇く中で派遣隊員約12000人の宿営地を確保することが困難になったため、大規模な災害派遣部隊が現地に展開して救助活動を開始するまでに、3日間を要した。
【関連リンク】
池田幸代(阿部知子秘書)ブログ シアワセの種を集めて
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