+ + + + + + + + + +
黒田勝弘(産経新聞ソウル支局長、論説委員)と市川速水(朝日新聞ソウル前支局長)両記者による対談本である。
日韓問題、北朝鮮、韓国報道をめぐって、それぞれの自論を戦わせた。一読すれば明らかなように、対談本としては、黒田の「圧勝」に終わっていると言うしかない。
* *
2人の年齢差、コリア取材歴の差から見て当然の結果だ。しかし、ここでは黒田と「一度激突してみたかった」という市川の勇気を評価しておくべきだろう。コリア報道を「党派性」「メディア・フレーム」の狭い枠組みから脱却させるための試行として、きわめて貴重であるからだ。
この「特派員対談」企画は一緒に酒を飲んでいるうちに持ち上がったという。「2人が思い切り会話形式で意見を交わしたら、複眼的な見方が生まれるかもしれない」(市川)「これは市川記者の先駆性である。こんな先駆的記者がいれば朝日新聞の将来は大丈夫かもしれない」(黒田)。
このような「エールの交換」を経て行われた対談だが、量、質的にも黒田の発言が圧倒しているのは、すでに指摘した通りだ。たとえば第1章「朝日と産経」では、黒田の発言量は約800行分もあるのに、市川の発言は400行弱で半分ほどしかない。黒田の「独演」を市川が「拝聴」しているような場面もある。
* *
黒田は対談で「コリア報道における先駆性とは何か」という命題を議題に載せ、「朝日の守旧派」ぶりを攻撃した。これは毎日新聞ソウル支局長だった私の観点から見ても、自明の事実だ。
1980年代以降、コリア報道を主導したのは、黒田と重村智計(毎日新聞元ソウル支局長、現早稲田大学教授)である。朝日のコリア報道は総じて、現実から遊離した「ご高説」が少なくなかった。
たとえば金大中政権が誕生した時だ。朝日新聞の編集委員は「これでやっとソウルの高層ビル群に、民主化という魂が入った」とコラムに書いた。ソウル支局長を長年務めた人物であった。
朝日の記者にとっては「ビルにも民主化の灯が点るのか」と、私は驚いたものだ。すでに「民主化(1987年)以降の民主化」が問題になり始めていた時期に、いまもってキンダイチュウ式のミンシュカ、これは守旧派というより教条主義に近い、と思ったものである。
* *
その点、黒田や重村は現実ウオッチングに基づいたコリア報道の先駆者だった。岡崎久彦が1983年に出版した名著『「隣の国で考えたこと』で、「何よりも望まれる」として待望した「才能と勇気のある方々が俗論や偏見を乗り越えて(中略)その成果を発表されること」を、マスコミの世界で実現すべく努力したジャーナリストだ。
「朝日特派員の後裔」である市川が、先駆者の黒田に立ち向かうには、ハンディキャップがある。それは市川も十分承知の上での対談だったに違いない。
* *
ただ、対談における黒田の発言は、従来の著書で展開している論議とほぼ同じであり、新味は感じられない。
むしろ興味深いのは、市川の発言内容だ。1960年生まれ、40歳代半ばの市川は、黒田と19歳の年齢差がある。市川の発言は朝日における「新コリアスクール」の登場を感じさせるとともに、今後、「ポスト団塊世代」のコリア観に共通した思考傾向が伺える。
* *
「韓国だけでも100人以上の元慰安婦がいますが、僕の取材でも、腕を引っ張られて、猿ぐつわをはめられて、連行されたという人は1人も現れていません」(55ページ)
「日韓のメーンの外交マターとは何か、歴史感覚がすべてではないだろう、といわれれば、その通りですね」(100ページ)
「(北朝鮮に対しては)社会主義幻想、贖罪意識、韓国への反発の“三点セット”で目が曇っていた」(162ページ)
これらの部分だけをピックアップすると、黒田の発言として紹介されても違和感はないだろう。
特にソウルの日本大使館前での「反日デモ」の様子を取材しながら、市川が「はいパフォーマンス終わりって感じで。(中略)。警官も彼らを取り巻くけれど、火をつけるところまで黙認する。(中略)。これがやらせかというと微妙で、韓国的なんです」(113~114四ページ)と説明するあたりは、社会部出身ならではのリアルな観察眼が感じられる。
* *
黒田も若いころは、そういうタイプの記者だった。市川と同年齢のころに黒田が書いた「韓国人の発想~コリアン・パワーの表と裏」(1986年、徳間書店刊)は、旺盛な取材力と読書量が結実し、目配りのきいた著書だ。
それに比べると、最近の記述はいささか演繹的で、固定的な印象を与えるものが少なくない。変化球の多投も目立つ。ポスト団塊世代の後輩記者が懸念する部分でもあろう。
* *
「コリア報道の先駆性」を強調する黒田に対し、市川が反論しそこなった点がある。「サッカーW杯の日韓共催」だ。
市川の上司である若宮啓文・論説主幹(1948年生まれ)が、あちこちで(例えば朝日新聞社刊「韓国と日本国」)述べているように、朝日の社説が先鞭をつけた。産経ではなかった。この点を反撃しておけば、対談はもう少し盛り上がったかも知れない。
黒田に代わって若宮説を批判しておこう。「自画自賛」論で欠けている部分があるからだ。それは朝日新聞が主に商業的な利益から、W杯の「オフィシャル・ペーパー」になったことによって、W杯機関紙になったとの批判に答えていない点である。
日韓W杯は「韓流ブーム」の源流でもあったが、ネット社会を中心とした「嫌韓論」(コリア報道への不信が根底にある)台頭の原因を作った。2人の対談に、そのような自覚と議論がないのは残念である。(敬称略)
>コリア報道への不信が根底にある
本質はこれ。この一文で必要十分。
ネット社会到来以前はコリア報道への不信があっても個人レベルで終わっていたのだが、ネット社会到来後はその不信が共有されるに至った。更にその不信は、従来のメディアでは提供されない情報により確信に変わる。従軍慰安婦、在日の強制連行、ハングルの禁止、創氏改名etc・・・。従来日本人が信じてきたコリア関係のトピックにおける嘘の多さに愕然とするも、マスコミは知らん振り。そこで「てめえ、今まで俺たちを騙してきたな!!」という不満が出口を求めて噴出している状態が、「ネット右翼」「嫌韓」と呼ばれる現象。ちなみに、こういったマスコミの情報優位性の崩壊という現状を知らずに従来通り捏造で日本人を批判してやろうとして失敗したのが毎日新聞の中村一成(のウトロ記事)。
下川氏は黒田氏に負けず劣らず鋭いコリアウォッチャーなのだから、もう少しコラムの更新頻度を上げてもらいたいと思った。
PR
この記事にコメントする
無題
マスコミは国民に嘘をついている。この思いは益々強くなってます。いつになったら嘘をつくのを止めるのでしょう。多くの国民はとっくにマスコミの嘘に気付いているのに、それに気付かないふりをしてるがマスコミ。国民の怒りが臨界点に達しなければマスコミは変わらないのか?国民を騙して、言論の自由は無いだろ。早くどうにかしてくれ。
無題
日韓W杯が韓流ブームの源流だったのは間違い無いかと。
作られたにせよマスコミが煽ったにせよブームはブームですし、一部ネットやサッカーに精通している人意外は韓国へ興味を(良い意味で)増やしたはず。それは真実です。
下川氏は毎日でなく産経あたりに移ればもっと沢山コラムを書かせてもらえるだろうに・・・
作られたにせよマスコミが煽ったにせよブームはブームですし、一部ネットやサッカーに精通している人意外は韓国へ興味を(良い意味で)増やしたはず。それは真実です。
下川氏は毎日でなく産経あたりに移ればもっと沢山コラムを書かせてもらえるだろうに・・・
無題
韓国(とは限らないが)をネタに、勝手な思い込みや妄想を記事に書くのが、これまでの出来損ないジャーナリズムだべ。
「ネット社会と、その主役である若者の改革パワーが生み出した盧武鉉大統領」
なんつって大恥かいたのは日本のマスコミくらいだろうさ。
>いささか演繹的で、固定的な印象を与える
そら、半島の連中が固定的だからでしょ。実質的には李氏朝鮮の頃から何も変わってないんじゃないかとさえ思えるほどに。
黒田さんだって年中おんなじことばかり書いてられないんだし、演繹的だったり変化球のようだったりする、つまり「毛色の違うものを拾ってはみたけど、結局は同じ結論」となるのも仕方ない。だからといって、変化を見逃さないためには継続的なヲチが不可欠なわけで、やめてしまうわけにもいかない。飽きが来るときだってあるだろうけど、それでも辛抱強くヲチし続ける、それがジャーナリストだし、だからこそ黒田さんは辛口なネット右翼wから信頼されてるんだよ。
そういうこと分かっとけ、下川。
「ネット社会と、その主役である若者の改革パワーが生み出した盧武鉉大統領」
なんつって大恥かいたのは日本のマスコミくらいだろうさ。
>いささか演繹的で、固定的な印象を与える
そら、半島の連中が固定的だからでしょ。実質的には李氏朝鮮の頃から何も変わってないんじゃないかとさえ思えるほどに。
黒田さんだって年中おんなじことばかり書いてられないんだし、演繹的だったり変化球のようだったりする、つまり「毛色の違うものを拾ってはみたけど、結局は同じ結論」となるのも仕方ない。だからといって、変化を見逃さないためには継続的なヲチが不可欠なわけで、やめてしまうわけにもいかない。飽きが来るときだってあるだろうけど、それでも辛抱強くヲチし続ける、それがジャーナリストだし、だからこそ黒田さんは辛口なネット右翼wから信頼されてるんだよ。
そういうこと分かっとけ、下川。
無題
>日韓W杯は「韓流ブーム」の源流でもあったが、
見たくも無いヒトモドキの番組を無理やり見せたのがブーム?
んじゃお前らマスゴミの嫌いなネットでのヒトモドキの真実もブームだなwww
>ネット社会を中心とした「嫌韓論」(コリア報道への不信が根底にある)
>台頭の原因を作った。
その不信の報道を未だに行っているお前らに言われたくないんだが。
飼 い 主 と 被 害 者 の
喧 嘩 の 審 判 に
飼 い 犬 が
割 り 込 ん で い る と し か
思 え な い ん だ が
ヒ ト モ ド キ に
飼 わ れ て い る
毎 日 さ ん よ
見たくも無いヒトモドキの番組を無理やり見せたのがブーム?
んじゃお前らマスゴミの嫌いなネットでのヒトモドキの真実もブームだなwww
>ネット社会を中心とした「嫌韓論」(コリア報道への不信が根底にある)
>台頭の原因を作った。
その不信の報道を未だに行っているお前らに言われたくないんだが。
飼 い 主 と 被 害 者 の
喧 嘩 の 審 判 に
飼 い 犬 が
割 り 込 ん で い る と し か
思 え な い ん だ が
ヒ ト モ ド キ に
飼 わ れ て い る
毎 日 さ ん よ
無題
こんつは~っス、熱闘欲っス。
>日韓W杯は「韓流ブーム」の源流でもあったが、ネット社会を中心とした「嫌韓論」(コリア報道への不信が根底にある)台頭の原因を作った。
そう言えばそうっスね。
ネットで若い人らを中心に嫌韓感情が広まっていったのと逆に、巷じゃ韓流スターにドドメ色の声上げるオバチャンが増殖したっスもんね。
元気ハチュラチュ・・・って感じで。
>日韓W杯は「韓流ブーム」の源流でもあったが、ネット社会を中心とした「嫌韓論」(コリア報道への不信が根底にある)台頭の原因を作った。
そう言えばそうっスね。
ネットで若い人らを中心に嫌韓感情が広まっていったのと逆に、巷じゃ韓流スターにドドメ色の声上げるオバチャンが増殖したっスもんね。
元気ハチュラチュ・・・って感じで。
無題
>日韓W杯は「韓流ブーム」の源流でもあったが、
>ネット社会を中心とした「嫌韓論」(コリア報道
>への不信が根底にある)台頭の原因を作った。
毎日新聞のネット取材班(笑)に百回聞かせてやってください。
>ネット社会を中心とした「嫌韓論」(コリア報道
>への不信が根底にある)台頭の原因を作った。
毎日新聞のネット取材班(笑)に百回聞かせてやってください。
無題
>日韓W杯は(中略)ネット社会を中心とした「嫌韓論」(コリア報道への不信が根底にある)台頭の原因を作った。
これはリアルタイムで見てきた人間としては肯くところ。
次々起こる韓国の審判買収疑惑で一気に嫌韓が広まった。私自身もそうだが。
それまでは朝鮮批判しても「ハン板でやれ」だったのにね。
共催はW杯開催手段として最悪の展開ではあったが、
日本含め世界中にあいつらの本性晒せたという意味で、歴史的出来事。
相対的に「日本”は”最高のホスト国だった」って評価も得られたしw
これはリアルタイムで見てきた人間としては肯くところ。
次々起こる韓国の審判買収疑惑で一気に嫌韓が広まった。私自身もそうだが。
それまでは朝鮮批判しても「ハン板でやれ」だったのにね。
共催はW杯開催手段として最悪の展開ではあったが、
日本含め世界中にあいつらの本性晒せたという意味で、歴史的出来事。
相対的に「日本”は”最高のホスト国だった」って評価も得られたしw
無題
つーか、もっと言えば「嫌韓」にならなかった可能性だってあったんだけどな。
庶民の核心の感情としては「 ウ ソ つ く な 」ってことだったんだから。
たまたま、もっともバレバレなウソつきまくって日本に損害与えまくってるのが半島だったってだけで。
一番被害を与えてる嘘つきに矛先が向くのは当然でしょ?
無論半島の自業自得、というかサガだけどねww
庶民の核心の感情としては「 ウ ソ つ く な 」ってことだったんだから。
たまたま、もっともバレバレなウソつきまくって日本に損害与えまくってるのが半島だったってだけで。
一番被害を与えてる嘘つきに矛先が向くのは当然でしょ?
無論半島の自業自得、というかサガだけどねww
そりゃ・・・
>ただ、対談における黒田の発言は、従来の著書で展開している論議とほぼ同じであり、新味は感じられない。
対談のときと著書で違う主張をすれば信用失くすだけでしょうが。黒田氏に負評価をつけようと必死ですな。
対談のときと著書で違う主張をすれば信用失くすだけでしょうが。黒田氏に負評価をつけようと必死ですな。
無題
2002年のNHKだったかな?ジーコが空気読まずに下朝鮮をこき下ろすのを見て、ヤフーで「韓国への悪口」と検索かけた。そして悪名高き2chに行き着いた。目からウロコが落ちるという経験を初めてしたね。まあ今は下朝鮮より日本のアカどものほうが腹が立つよ。あいつらが全ての元凶と言っていい。